ふわふわ、ギラギラ、さまざまに「化ける革」を生み出すHARUKA YUMOTO。革の可能性はどこまで遠くへつながっているのか、問いかけるように実験していきます。

自然讃歌

​​森羅万象、もちろん革に対しても尊敬の念を抱いています。動物たちは、自分に見えないものを見ている。聞こえない音を聞いている。自分にはない体の機能、つくりを持っています。例えば、豚は毛穴がたくさんあるので、牛革よりも豚革の方が通気性がいいんです。そして、動物が死んだ後も、その機能を無駄にすることなく、使えるようにしている人間もすごい。最近、自分の根底には「自然を讃歌する気持ち」があるのだと思い起こす機会が増えてきました。動物たちや、動物の皮、革として生かす為に関わっている全ての方々へのリスペクトを常に忘れずにいたいです。

​​革は可能性のかけ合わせ

ICHIで活動を始める前は、趣味で靴づくりを習い、フランスに渡ったのちに靴屋で靴を染色する仕事に就いていました。現在も、革製品に手で染色をしていく、いわゆるパティーヌという仕事に携わっています。IHCHIで行なっている「革のデザイン」は、これらの手前の作業にあたります。
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​​革の魅力は、経年変化にこそある。そう感じる方はたくさんいらっしゃると思います。でも、それだけではない、革の可能性も伝えられたらと思っています。革の素材は多種多様で、仕上げ加工の種類も豊富にあります。柄付きのセロハンを貼り付けたり、型押しして柄をつけたり、刷毛で色を塗るものもあり……。革の出来上がりは、革の素材と仕上げの掛け合わせによって変わっていくので、革の可能性は果てしなく広がっているのです。素材としての革の可能性、加工によって多彩に表情を変える革の面白さ、美しさ、魅力をICHIから感じていただければとても嬉しいです。
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​​革の可能性として、もうひとつ考えていることがあります。私は、ヘビやワニなどのエキゾチックレザーを使うことに抵抗を感じていて、食肉加工の副産物からなる革(豚や牛、ヤギの革など)だけを下地に利用しています。また、加工技術を利用すれば、牛革にヘビ柄、ワニ柄を模すことだって出来ます。ヘビ柄が再現できるなら、ヘビの命を奪う必要はないはずです。そのために、エキゾチックレザーの代わりとなる革を、積極的に模してゆきたいと考えています。そして革のために命を奪われる動物がいなくなることを願っています。
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​​化ける革から、未知な革へ

​​個人的に、「化ける革」というテーマを持ってデザインしています。ぜひ、サイトのコレクションページをご覧になっていただきたいのですが、革のバリエーションは本当にさまざまです。質感をツルツルにすることもできれば、ふわふわ、マット、ギラギラにすることもできます。柄だって膨大にあります。
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​​今は「化ける革」をデザインしていますが、いずれは「未知な革」をつくりたいと考えています。革のイメージが変わるような新しさを、みなさんにお見せできればと思っています。素材と仕上げの掛け算によって、どんな革が生まれるかを見守るのは面白いです。たくさん失敗しつつも実験を繰り返して、革の可能性と末長く付き合っていきたいです。